Synopsis
六十八歳になった元証券マンの僕は、
ある朝、ラジオから妙な言葉を聞いた。
「相場は、韻を踏むことがあります」
一九八五年。
一九九八年。
そして二〇二六年。
アメリカまで円高方向へ動くという、
滅多に鳴らない音。
数十年に何度しか現れない、
スーパーエルニーニョ級の異変。
世界でも異例だった日本のゼロ金利は、
いつの間にか長期金利三%の世界へ。
そして一九九八年前後。
日本中が悲観するその横で、
まだ誰もよく分からなかったYahoo! JAPANが、
次の時代の主役へ向かって走り始めていた。
では二〇二六年。
AI、自動運転、ロボット、小型株。
今、みんなが笑っているものの中に、
次の主役はもういるのだろうか。
マーケット探偵ホームズ、
普通の投資家代表ワトソン、
生成AIパティちゃん、
高校一年生のゆづき。
最初は笑っていた五人だった。
だが、
滅多に鳴らない音が、
一つ、また一つと重なり始める。
そしてホームズは言う。
「滅多に鳴らない音が重なる時、
損失の持ち主も、
静かに入れ替わり始めます」
歴史は繰り返さない。
けれど――
相場は、ときどき韻を踏む。
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