Synopsis
聖国アグナスには、5年前から深刻な病が発生していた。呼吸するだけで皮膚が腐り、最終的に命を落とす『花腐病(かふびょう)』だ。クローヴァは、深い森の中に建てられた庵に住み、たった一人で薬を作り続ける『花煎じの魔女』だ。強固な結界に囲まれた場所で孤独に暮らすクローヴァだったが、ある日突然結界を壊された。壊したのは、黒髪黒目で長身の怪しい男・ジュード。しかもクローヴァを見るなり「俺を愛せ」とのたまう。追い返そうとしても頑として応じず、しかも勝手に住み着いてしまった。
ジュードは自分を「世界の均衡を保つ黒ノ竜」だと名乗り、百年見つからなかった番をようやく見つけた、とクローヴァに迫る。
一方、結界を壊されたことで、聖国の皇子・セシルに居場所がバレてしまった。セシルは自ら庵を訪れ「聖国民の命の恩人である」と求婚してくるが、クローヴァは困惑を隠せない。
実はクローヴァには人には言えない大きな秘密があり、庵から出ることも誰かと添い遂げることも、頑なに拒絶するしかない。
そんな時、聖国アグナスの西に位置するヴァロア王国から、セシルの婚約者と名乗る王女・ミラフィリアまでもが乗り込んできて、事情は一変する。『花腐病(かふびょう)』はアグナス国民しか罹患しないはずが、ミラフィリアを襲ったのだ。煎じた薬が効かず、刻一刻と死に近づくミラフィリア。
焦るクローヴァは、結界を壊したジュードを責め立てるが、ジュードは「いい加減、全部を独りで背負うのはやめろ」と諭す。
黒ノ竜は、愛する番であるクローヴァの秘密を打ち破るためにやってきたのだから、と。
その時すでに『花腐病(かふびょう)』は、国中に蔓延していた――。
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