Synopsis
『あの世の境界線』
あらすじ
死んだ後、人はどこへ行くのか。
人の死後には、生と死の間に存在する「境界」がある。
そこには建物があり、人の気配もある。けれど、太陽はなく、空はいつも暗闇に包まれている。霧の向こうに続く道は、時に現世ではありえない距離や場所へと繋がっている。
死者はそこで、自分自身の「道」を歩く。
ただし、境界を自由に歩けるわけではない。
死者同士が勝手に再会することも、現世を覗くこともできない。それらには境界の管理人による許可が必要となる。
そして、死者の中には「案内係」として境界を歩く者たちがいる。
彼らは元・死者。
道に選ばれ、他の死者を次の場所へ導く役目を担っている。
ある日、死を迎えた真もまた、境界へと辿り着く。
生前、人を守る仕事をしていた怜真は、そこで自分を待っていた管理人・ダイから、必要な場所へ行くよう告げられる。
道に導かれ、辿り着いた先。
そこで真を待っていたのは、花模様と黒をあしらった仮面をつけた、境界側の統括者だった。
「今日から、あなたにも境界の案内をしてもらいます」
突然与えられたのは、死後の「仕事」。
納得できない真だったが、道はすでに彼を案内係として選んでいた。
パトロール案内係の指導を受けながら、怜真は少しずつ境界の歩き方を覚えていく。
その中で、彼は境界の不思議さと、自分自身の変化に気づき始める。
そして、統括者である仮面の女性が見せる、どこか懐かしい言葉遣いと仕草。
やがて怜真は気づく。
彼女は、自分が生前に仕えていた――
そして、死後も忘れることのできなかった女性なのではないかと。
これは、死者が「自分の道」を歩きながら、残された未練と向き合い、もう一度誰かを守る物語。
生と死の境界で、真はどこへ向かうのか。
そして、ステロイドはなぜ境界にいるのか。
その答えを知っているのは、もしかすると人ではなく――「道」なのかもしれない。
登場人物
◆ 真
死後、境界へやってきた青年。
生前は人を守る仕事に就いていた。
境界へ来た当初は普通の死者だったが、道に選ばれ、案内係として働くことになる。
本人の意思とは関係なく突然仕事を与えられたため、当初はかなり反発する。
口が達者で、屁理屈を言ったり、調子に乗ったりすることもあるが、本質的には人を守ろうとする性格。
案内係として働くことになる。
現在はパトロール案内係について歩きながら、境界での仕事を覚えている途中。
そして、境界で再会することになる「ある女性」の存在が、怜真自身の未練と過去を大きく揺さぶっていく。
◆ ステロイド
境界側の統括を務める女性。
黒を基調としたシンプルなロングコートに、桜模様の仮面を身につけている。全体的に落ち着いた印象で、境界の統括らしい威厳を感じさせる装い。
基本的には冷静で淡々としており、仕事には非常に真面目。
感情をあまり表に出さない。
真のことを生前から知っているかのような言葉遣いをする一方、真について知っていることを必要以上に語ろうとはしない。
境界に長くいることで身についた、独特の歩き方をする。
普通に歩いているように見えるにもかかわらず、進んでいる距離が明らかにおかしい。
本人はそれを特別なことだとは思っていない。
「……昔から、こうだった気がします」
その歩き方がなぜ身についたのかは、まだ分かっていない。
怜真との関係も、物語の中で少しずつ明らかになっていく。
◆ ダイ
境界そのものを管理する管理人。
死者の移動、案内係、未練など、境界に関わる多くの事柄を管理・統括している。
ただし、境界のすべてを自由に支配しているわけではない。
境界のあちこちを点々とし、必要なときや呼ばれたときに姿を現す。
特に「道」については、ダイ自身にも完全には理解できない部分がある。
また、元・死者でも境界に生まれた存在でもない。
彼が一体何者なのかは、境界にいる者たちにも分からない。
◆ 案内係
境界で死者を導く者たち。
基本的には元・死者であり、道によって選ばれ、案内係となる。
単に制服を着た死者ではなく、境界に関わることで普通の死者とは異なる性質を持つ。
境界の道を認識して歩くことができ、他の死者を次の道へ導くことができる。
また、境界で起こる異常を多少感じ取れる者もいる。
◆ 道
境界に存在する、意思を持つようにも見える不思議な存在。
死者を必要な場所へ導くだけでなく、その者の生前についても知っている。
案内係を誰にするかを決めるのも「道」。
ダイが選んでいるわけではない。
なぜその人間を選んだのか、道自身が説明することはない。
ただ必要な人間を、必要な場所へ導いていく。
境界にいる者たちにとって、それは「そういうもの」として受け入れられている。
しかし、その正体と目的は誰にも分からない。
Serialization Info
Web Novel