Synopsis

昼休みの中央広場で、わたしはひとりの踊り子と出会った。 彼女の名はユズ。 貧しさゆえに舞踊学校へ通えず、古びた指南書だけを頼りに、この国の民族舞踊を独学で練習している少女だった。 けれど、彼女の踊りは誰が見ても民族舞踊には見えなかった。 周囲はそれを下手だと笑う。 ユズ自身も、自分の踊りが間違っているのだと思い込んでいた。 それでも、わたしには違って見えた。 小鳥が舞うような伝統の踊りではなく、大鳥が空へ羽ばたくような踊り。 間違えていて、けれど間違えていない、彼女だけの踊り。 パンを分け合い、雨の日に服を買い、祭天の夜にイルミネーションの下を歩く。 七日間の出会いのなかで、ユズは少しずつ、自分だけの舞踊に気づいていく。 そして彼女がいなくなったあと、わたしはようやく知る。 彼女の踊りを覚えているのは、わたしだけなのだと。 これは、誰にも見つけられなかった踊り子と、彼女を見つめ続けたひとりの観客の物語。

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Kakuyomu
Kakuyomu08/31/2026
  • Current踊り子とイルミネーション――彼女の踊りを覚えているのは、僕だけだった