Synopsis
会社員・白川菜々。悪魔の求婚も、堕天使の問いも、忘れられた女王の孤独も、奈落の司書の頁も、星々の彼方の観測者も――そのすべてに、彼女は自分の答えを返してきた。
けれど、ある朝から。時計の針が、逆に回りはじめた。同じ会話が、二度、三度と繰り返される。やがて陽は沈まなくなり――世界は、完全に止まった。動けるのは、菜々ひとり。
止まった世界の中心に降りてきた時計塔。そこにいたのは、時を喰らい、進めなくする者だった。
「時間は、残酷だ。だから、私は止める」
かつて王だった彼は、病の娘を救うため、時を巻き戻し続けた。それでも娘は死んだ。ならば――すべての時を止めてしまえば、誰も、二度と、何も失わない。
「時さえ止めてしまえば、お前が誰かを喪う未来は、永遠に来ない」
差し出されたのは、止まったままの、幸せな世界。触れても温度のない頬。揺れない湯気。返らない声。
時間と喪失の物語。ダークファンタジー・シリーズ「ナナ・クロニクル」第六作。
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