Synopsis
雨の日は、郵便物が重い。
十八歳の郵便配達員・天城蓮は、ある雨の日、存在しないはずの「旧中央駅」へ一通の奇妙な手紙を届けるよう命じられる。宛先は「この街がなくなったあとに生まれる子供」。
そこで蓮を待っていたのは、雨に濡れない少女・白石ミナだった。彼女は蓮の名前を知っているのに、自分が何者なのかも、なぜ蓮を待っていたのかも覚えていない。
さらに、死んだはずの父・天城シンから蓮宛ての手紙が届く。そこに記されていたのは、「世界はもう、始まっている」という謎の言葉。そして蓮の端末には、世界記録の最終処理まで残り三十日という警告が表示される。
やがて街では、建物ではなく、人の名前や写真、過去の記録が少しずつ消え始める。世界そのものが滅びるのではない。世界から「存在したという証拠」が失われようとしていた。
自分自身の記憶にも欠落があることに気づきながら、それでも蓮は手紙を届けることをやめない。
なぜ父は死後に手紙を残したのか。
なぜミナは蓮を待っていたのか。
そして、三十日後に世界で何が起こるのか。
誰かが誰かを想って残した一通の手紙が、消えゆく世界の運命を変えていく。
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