Synopsis

「――桐瀬くん、明日を自分に返してあげて」 そう言って僕の前から去っていった彼女の瞳の哀しみを、僕はまだ知らない。 四月の風が桜を散らす大学の並木道。 桐瀬朔が出会ったのは、三年前のあの夏、冷たくなっていったはずの少女――汐見灯里だった。 幻でも妄想でもなく、彼女は確かに春の光の中に立っていた。 けれど、母も、警察の公的記録も、世界中の誰もが平然と告げる。 あの日、あの瓦礫の中で助かったのは、最初から朔一人だけだったと――。 狂っているのは世界か、それとも僕たちの記憶なのか。 因果の彼岸でふたりが紡ぐ、切なくも美しい青春の物語。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Kakuyomu
Kakuyomu09/17/2026
  • Currentデコヒーレンス