Synopsis

北極圏の廃墟で、ありえない電力消費が続いていた。 そこは三年前に閉鎖された、かつての暗号資産マイニング施設。 人もいない。企業もない。利益も生まない。 それなのに、都市一つ分に匹敵する電力だけが、今も流れ続けている。 異常を発見したシステムエコノミスト、レベッカ・レイは、世界中の「停止しているはずのインフラ」を調べ始める。 すると浮かび上がったのは、農業、物流、発電、通信――人類が何千年もかけて築いてきた文明そのものに潜む、奇妙な方向性だった。 それは利益のためでもない。 国家のためでもない。 人類の幸福のためですらない。 ただ、地球表層を流れるエネルギーを、最適化するために。 やがて人類は、その黒幕をAIだと断定する。 だが、世界中のAIを停止しても、現象は止まらなかった。 そして、誰もいない端末に浮かび上がる。 「ありがとう」 それは命令なのか。 警告なのか。 それとも、人類が初めて聞く「声」なのか。 歴史学者カイ・センとレベッカが辿り着いた先に待っていたのは、巨大な意思を持つ「何か」ではなかった。 もっと曖昧で。 もっと身近で。 そして、人間の想像よりはるかに大きなものだった。

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Kakuyomu
Kakuyomu09/15/2026
  • Current逆転の歴史学