Synopsis
長野五輪の熱狂が冷めやらぬ二月二十三日。
看護婦国家試験の会場・成蹊大学に向かった“僕”は、待ち時間のあいだに強烈な発汗と焦燥に襲われる。
胸の奥がざわつき、逃げ出したくなる衝動。
高校時代から続く「理由の分からない苦しみ」が再び全身を支配する。
汗で濡れた服が冷え、ようやく落ち着いたころには、まだ二十分しか経っていない。
帰りたい気持ちと、帰れない理由のあいだで揺れながら、ただ時間をやり過ごす。
試験を終えた人々の流れの中で再び発作が迫る気配。
そのとき、級長の声がした。
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