Synopsis
天下がまだ、誰のものでもなかった頃。
石田佐吉、加藤虎之助、福島市松、大谷紀之介。
のちに石田三成、加藤清正、福島正則、大谷吉継と呼ばれる四人は、羽柴秀吉のもとで若き日を過ごしていた。
帳面の数字が合わないと怒鳴り、勝手に人を動かしては喧嘩し、同じ飯を食い、槍を振り、夜にはこれからの世を語る。
才があり、それを使える場所があり、互いの違いを面白がれるほど、まだ青かった。
やがて四人は城を持ち、軍を率い、国を治め、人を背負う。
若い頃には笑って済ませられた違いは、思想となり、責任となり、生き方そのものへ変わっていく。
同じものを見ても、同じ道は選べない。
それでも、繋がりまで消えるわけではない。
理解したからこそ別れ、認めているからこそ譲れないこともある。
親友であることと、敵になることは、必ずしも矛盾しない。
とりわけ石田三成は、最後まで佐吉だった。
人が理屈では動かないことも、正しさだけでは勝てないことも、自分を理解したうえで別の道を選ぶ者がいることも知った。
それでも志を古びさせなかった。
青さを捨てて大人になったのではない。
青いまま、背負えるものを増やしていった。
そして敗北も、人の死も、自らの死も、自分の選択が生んだものとして引き受ける。
青々とした子どもの志を、大人の責任で最後まで持ち切った。
だから彼は、誰より青く、誰より大人だった。
かつて共に笑い、やがて別の道を選んだ友なら、その姿を見て思うのかもしれない。
――お前は、そこまでやったのか。
「青春」を若者だけのものと呼ぶには、彼らの人生はあまりにも青い。
才を試した日々も、友と競った日々も、国を背負った日々も、互いを理解したまま敵になった日々も、そのすべてが青春だった。
私たちが人生の一時期に閉じ込めているものを、彼らは一生をかけてやった。
これは青春があった者たちの物語ではない。
青春を、生涯やりきった者たちの物語。
戦国という巨大な時代を駆け抜けた四人の、眩しすぎるほど青い、大青春である。
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