Synopsis

「やっと日暮れか。」 黄昏の大通りを、私は行く宛もなく歩いていた。 錆びたガードレール。逃げ水。泥水。彼岸花。風鈴。そして、水辺の向こうに見える駅。 いつものようにどうでもいいことを考え、自分自身を面倒臭い奴だと評しながら歩いているうちに、どうも世界の様子がおかしくなっていく。 顔の分からない人々。終わらない道。朱み始める空。宙に浮く提灯。狐、骸骨、白い双子。そして、妙に馴れ馴れしい河童。 私は常日頃から死にたいと思っていた。 ならば、この世ならざる場所に迷い込んだところで何を恐れる必要があるのだろう。 ――それでも私は、どうしようもなく人間だった。 黄昏と冥闇の境界を彷徨う、少し偏屈な異界漫歩譚。

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Kakuyomu
Kakuyomu08/16/2026
  • Current常夜の愚賢者