Synopsis
「エレーナ。お前は私の婚約者だろう。なぜ、止めなかった」
新興商会との交易拡大策が詐欺と判明し、王家に多額の損失が出た謁見の間。追い詰められた第一王子ジークハルトは、婚約者である辺境伯令嬢エレーナに責任を押し付けようとする。
「恐れながら、この事態は、半年前の進言書に記載してございます」
エレーナは動じず、正式な受理印付きの一枚の書類を取り出した。
社交界で「口数が少なく、地味な令嬢」と言われ続けてきた彼女には、誰にも言わずに続けてきたことがあった。危険性を見抜き、半年前に正式な進言書を提出していたのだ。しかも、そこにはジークハルト自身の「検討不要」の署名まで残されていた。
「そんな書類、受け取った覚えはない」
「王室文書課の台帳に、受理番号と共に記録がございます」
一つ、また一つと、王子自身が警告を握りつぶしていた事実が明らかになっていく。顔色を失っていく王子。
この事態は、半年前の進言書に記載してございます。
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