Synopsis
「余命一年のお前など、宮廷魔女には不要だ」
王太子ロデリックにそう告げられ、宮廷から追放された蝋燭の魔女セシリア。前世は緩和ケア病棟の看護師だった彼女は、限りある命の使い方を誰よりも知っていた。
喚かず、取り乱さず——ただ静かに微笑んで、彼女は契約解除を告げる。その瞬間、王国が三百年誇った対魔物結界が音を立てて砕け散った。そう、すべては彼女の「残り火」で維持されていたのだ。
慌てて追いすがる王太子に、セシリアは静かに背を向ける。
「だが、断る。私の残り火は——私を捨てなかった人のために使います」
荒野をさまよい行き倒れた彼女を拾ったのは、「冷酷な軍神」と噂される竜人将軍ガルド。しかしその実態は、行き倒れの女ひとりにあわあわと狼狽える、不器用で心優しい大男だった。
燃え尽きるはずだった命が、いま『始まり』の真ん中に立っている。残り一年の炎で、私を捨てた王国を焼き尽くし、そして——本当に大切な人のために燃やしてみせる。
終わりを知る魔女が紡ぐ、静かで熱い最強復讐ファンタジー、開幕。
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