Synopsis

「お前のようなケチな女がいなくなれば、我が領はもっと栄える!」 婚約者からそう言われ、エレナ・バロウズは伯爵家を去った。 泣きもしない。 縋りもしない。 彼女が持って出たのは、亡き父から受け継いだ南方の廃港と、長年磨き続けた帳簿の知識だけだった。 ――ならば、ここから始めればいい。 船もない。 仕事もない。 人もいない。 けれど、港には良質な珪砂があり、背後の赤土にはガラスを変える可能性が眠っていた。 落ちぶれた天才ガラス職人。 港を知り尽くした老測量士。 仕事を求める元船乗りたち。 エレナは彼らとともに、誰も見向きもしなかった土地に火を灯していく。 一方その頃、彼女を追い出した伯爵家では―― 「なぜ金がない!?」 帳簿から一人の管理者が消えただけで、すべてが狂い始めていた。 これは、捨てられた令嬢が「価値のない土地」と呼ばれた廃港を、ガラスと酒と商売で富の港へ変えていく物語。 そしていつか、かつて彼女を捨てた男が、もう一度彼女の前に現れる。 そのときエレナが開くのは、恋文ではない。 一冊の帳簿だった。

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Kakuyomu
Kakuyomu08/29/2026
  • Current『廃港の帳簿係と南の硝子』