Synopsis
高校一年生の神薙美咲(かみなぎ・みさき)は、お盆休みに一人で宇都宮線に乗り、祖母や親戚の待つ栃木県黒磯へと向かっていた。満員の車内で荷物を持ち上げられずに困っていた美咲を助けたのは、どこか落ち着いた雰囲気を纏う紳士的な男性だった。車中で言葉を交わすうち、男性の深い包容力と優しい言葉に、美咲は理由のわからない救いと胸の締め付けを感じる。
黒磯の祖母の家へ到着した美咲には、毎年変わらない夏の「儀式」があった。彼女は過去に、自らの手で救うことのできなかった同い年の幼馴染・蒼介(そうすけ)に会う。毎年お盆になるたび、美咲は家族とともに墓を参り、夜には一人で彼の面影が残る小川へと向かい、年々薄れていく彼の声や記憶の恐怖と罪悪感に苛まれながら一人涙を流していた。
祖母の家を後にした美咲は、埼玉へ帰る途中で立ち寄った宇都宮にて、電車で出会った男性が「ゲノム医療と先進医学」の権威である中条直樹教授であることを知る。彼のセミナーに奇跡的に足を踏み入れた美咲は、難解な講義のなかに、幼い命を救うための「未来」と希望の光を見出す。
悲しい過去の記憶にとらわれていた少女が、一人の大人との出会いをきっかけに、人の命を救う道へと歩み出すまでの再生の物語。
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