Synopsis

フォルスター伯爵令嬢エレナには、五年間連れ添った婚約者がいる。 アーヴィング侯爵家の嫡男レオナルト。 真面目で優秀で、エレナとの結婚も当然のように考えていた男だった。 そんな彼から、ある朝突然頼まれる。 「しばらく、人前では俺の婚約者ではないふりをしてほしい」 レオナルトに好意を寄せる第二王女が、エレナを見るたびに機嫌を損ねるからだという。 婚約をやめるわけではない。 ほんの少しの間だけ。 そして彼は、いつものように言った。 「君なら分かってくれると思った」 その言葉を聞いて、エレナはふと思い出す。 楽しみにしていた旅行がなくなったときも。 結婚式が延期になったときも。 夜会で一人帰ることになったときも。 事情はいつも違った。 けれど、最後に予定を変えるのはいつもエレナだった。 「分かりました」 そう答えると、レオナルトはほっとしたように笑った。 だからエレナは、その続きを口にした。 「では、婚約を解消しましょう」 婚約者を愛していなかったわけではない。 だからこそ、エレナは五年間ずっと譲ってきた。 けれど一度立ち止まってみると、今まで見えていなかったものが少しずつ見え始めて――。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou08/25/2026
  • Current王女殿下の為に「しばらく婚約者ではないふりをしてほしい」と言われましたので、本当に婚約者をやめることにしました