Synopsis
漢王朝末期。
長き旱魃に襲われた中原では、民が飢え、死体が道端に転がり、腐敗した役人たちがなおも重い税を取り立てていた。
その日、名もなき農民・狗子のもとにも、税を求める役人がやってきた。
だが、狗子の家には、もう何も残っていなかった。
食べ物もない。
金もない。
そして、妹は飢え死にした。
すべてを奪われた狗子の前に現れたのは、黄色い布を頭に巻いた無数の民衆だった。
「蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし!」
黄巾の旗を掲げ、漢王朝に反旗を翻した民衆たち。
彼らは狗子に水を与え、黄色い布を差し出した。
大義など知らない。
張角が何者なのかも知らない。
ただ、生きたかった。
狗子は鍬を握り、黄色い濁流の中へ身を投じる。
それが、乱世を駆け抜ける一人の男の始まりだった。
やがて狗子は、黄巾の乱という巨大な戦乱の中で、数多の人間と出会う。
農民。
兵士。
盗賊。
武将。
そして、後に天下を争うことになる英雄たち。
曹操、劉備、袁紹――。
歴史書に名を刻む者たちが時代を動かす一方で、名もなき者たちもまた、血を流し、大地を踏みしめ、必死に生きていた。
これは英雄たちの華々しい武勇伝ではない。
名もなき農民だった狗子が、鍬一本から始め、乱世の濁流を生き抜いていく戦乱の物語。
そして一人の男の生存への執念が、やがて動乱の歴史そのものを揺るがしていく――。
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