Synopsis
~登場人物の紹介とあらすじ~
i)登場人物の紹介
クエイア
王立寄宿学院で保健室を預かる女性教師。薬草療法と植物毒理学に精通している。時間を効率的に使い、自分にできることとできないことを冷静に判断できる一方、八年前の診察ミスを今も忘れられずにいる。
アンサン
学院図書塔の文書管理官。古い植物誌や学院記録に詳しい。感受性が豊かで、誰かの答えを奪うことなく支えることのできる青年。クエイアの調査にも静かに寄り添う。
イマンユーエル
学院へ赴任してきた植物魔術教師。八年前、クエイアが十分に診察できなかった元生徒で、今も左手に後遺症を抱える。過去に留まらず、自らを変えるため植物魔術を学び続けてきた。
ウェスタン
学院へ陶器を納める職人。無愛想で口も悪いが、仕事は極めて繊細。古い陶器に施された特殊な模様を読み解く手助けをする。
クエイシュウン
学院の対外折衝を担う人物。幅広い人脈と人を惹きつける力を持ち、失われた記録を人から人へ辿っていく。
レアン
学院の校庭と薬草園を長年守ってきた女性庭師。言葉は辛辣だが、植物と生徒たちを誰より大切にしている。八年前の事故について、彼女自身も語らなかった過去を抱えている。
ii)あらすじ
王立寄宿学院の保健室教師クエイアは、薬草療法と植物毒理学を専門としている。
ある日、授業中に一人の生徒が倒れた。
青紫色に変わる指先。呼吸困難。そして制服に残された黄色い微粉末。
それは八年前、クエイアが救いきれなかった生徒――イマンユーエルに現れたものと同じ症状だった。
しかし、原因となった危険植物は八年前にすべて処分されたはずだった。
やがて校庭には、季節外れの花々が奇妙な順番で咲き始める。
古い植物誌を調べると、それはかつて学院で使われていた「花序符号」だった。
花が伝えた言葉は、
「キロクヲタドレ」
学院に残された記録を追うクエイアたちは、草で編まれたティーコゼー、奇妙な模様を持つオーバルプレート、地下に隠された木製のトランクへ辿り着く。
そして判明する、八年前の事故で隠されていた事実。
だが学院の過去の罪が明らかになっても、クエイア自身がイマンユーエルを帰宅させたという過ちは消えない。
過去は変えられない。
許されたからといって、失われたものが元に戻るわけでもない。
それでも、身につけた知識を使って、今ここにいる誰かを救うことはできる。
やがて再び生徒の命が危機にさらされたとき、クエイアは八年前にはできなかった選択をする。
そして最後の花々が伝えたのは――
「ツギノヒトヲスクエ」
救えなかった過去を抱えながら、薬草の知識で未来の命へ手を伸ばす。
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