Synopsis
地学を学んだ。
就職できなかった。
船底を塗った。
会社に潰された。
京都へ逃げた。
座禅は高かった。
念仏は無料だった。
だから念仏を選んだ。
気がついたら若返って、戦国時代の鉱山送りになっていた。
……どこで選択肢を間違えた?
役立たずだった地学。
嫌になるほど相手をした船とフジツボ。
そして、意味すら分からなかった「貪瞋痴」。
そんな現代の残り物を抱えた男が、鉱山を逃げ出し、一隻の船から小さな渡し船を始める。
それだけだったはずなのに――
船が増えた。
航路が伸びた。
海賊が絡んできた。
大名まで絡んできた。
そのうち南蛮人までやって来た。
……話が大きくなりすぎてないか?
やがて世界で、その男を知らない者はいなくなる。
人々は彼を「海王」と呼んだ。
だが本人は言う。
「海王に、俺はならない。」
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