Synopsis

老医師ユリウスが診療台の脇から顔を上げた。診療助手のベルタも薬瓶を並べる手を止める。向かいに立つフィリップまで、ぴくりとも動かない顔でこちらを見た。 「い、いえ、今のは患者さんの包帯ではなく、こちらの空気に対する所見と申しますか」 リディアは診察室の中央で両手を握り直した。大勢ならまだしも、見ているのは三人だけ。三人だけなのに、喉が消毒綿を詰めた瓶みたいにきっちり塞がっている。 彼は目鼻立ちの整った人だったが、その端正さは飾り棚の医療器具に近い。磨かれている。よく切れそう。そして近寄りがたい。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou08/19/2026
  • Current婚約候補から外されそうな私たちは、月例診療の薬箱を開くと息が合うようです