Synopsis
人を殺すことしか知らなかった少年は、異世界で「人を治す手」を手に入れた。
前世で少年兵クラウディオとして戦場を生き、人を殺し続けた少年は、異世界の田舎療術士の息子――クルト・ヨゼフルト・ウィルセバとして生まれ変わる。
優しい両親に育てられたクルトには、ひとつだけ異常な才能があった。
傷ついた人間を癒す「癒光」である。
王立療術学校へ入学したクルトは、拳で殴りながら治療する怪力少年カンレル、無表情で肉に目がない少女エルテ、鼻持ちならない公爵子息スーエンらと出会い、人を救うための技術を学んでいく。
だが、実戦実習として赴いた戦場で、クルトたちは知る。
治した兵士は、再び戦場へ送られる。
指を失った兵士を治せば、その兵士は翌日死んだ。
傷ついた足を治そうとすれば、兵士は自らその足を切り落とし、「治さないでくれ」と懇願した。
人を救うための治療魔法が、戦争では人間を使い潰すための技術になっていた。
「おれたちのしたことには、何の意味もなかったんだ」
学校を去ることを決めたクルト。
ところが一人で旅立ったはずの彼の前に、カンレルとエルテが現れる。
「おれひとりでのことだ」
「おれもおれひとりでのことだ」
「わたしもわたしひとりでのことよ」
なら――三人で行けばいい。
人を殺した少年。
人を殴ることでしか治せない少年。
人を殺すことしか教えられなかった少女。
三人の療術士は、「ひとりでも多くの人を救う」ため世界を巡る。
治せることと、救えることは同じではない。
これは三人の若い療術士が、その答えを探して歩く異世界医療冒険譚。
Serialization Info
Web Novel