Synopsis

妖怪が出ても、学校は休みにならない。 摂津の港では、異国の品の隣に魔除けの札が並ぶ。 船乗りたちは天気の話をするのと同じ調子で、昨夜見た怪異の話をする。 それくらい、この国では怪異が近い。 十六歳のモモは、学校にほとんど行かない。 それでも数学の授業だけは出る。 数字はいい。 条件さえ間違えなければ、答えが変わることはない。 そんなモモの隣に、ある日、山城から来た少女・キイが座った。 よく喋る。 よく笑う。 頼んでもいないのについてくる。 気づけばモモの帰り道には、いつもキイがいた。 怪異には癖がある。 呪いには条件がある。 知らないものでも、よく見れば規則くらいは見つかる。 人間は、そうはいかない。 母は消えた。 父は何も話さない。 そしてキイもまた、モモの知らない顔を持っている。 数式なら、分からないものには分からないなりの解き方がある。 けれど人間は、 そもそも何を求めれば正解なのかさえ分からない。 怪異は解ける。人間は、解けない。

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Kakuyomu
Kakuyomu08/19/2026
  • Current百鬼夜行に数学はいらない