Synopsis
求人広告に載っていたのは、たった数行だった。
「液化石油ガス工場、現地人スタッフの技術教育、講師求む」
応募したのは、フランスの片田舎で職を探していた日本人技術者。
雇ったのはスイスの会社。仕事の現場は、アルジェリアの砂漠だった。
上司はフランス人。同僚はフランス人、ベルギー人、イタリア人、ギニア人。
生徒はアルジェリア人。そして日本人は、ぼく一人。
教室に入ってみれば、授業中にコーヒーが回り、カンニングは当たり前。
「ムッシュ、俺を馬鹿にするのか」と胸ぐらをつかまれ、
「あんたの授業はゼロだ」と面と向かって言われる。
一年で五十人の講師が来て、その半分が本国へ送り返されていく職場だった。
国境で門前払いを食らい、大使館まで七百キロ走り、
断食月には野原で羊がさばかれ、
上司の家の食卓では首狩り族と魔術師の話を聞かされる。
これは、二十代の日本人技術者が地の果ての教室で過ごした一年の、実話を基にしたエッセイである。
※本作に登場する日本人の名前は、ご本人の特定を避けるため一部を仮名にしています。学校名も同様に伏せてあります。
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