Synopsis
ある夏の夕方、少年は死んだ。
夕陽に照らされたアスファルトに広がる赤黒い血だけが、彼の生きた証だった。生きている間は誰も見向きもしなかったのに、死んだ途端に人が群がる――そんな皮肉な光景の中で、意識は途切れる。
7月15日。中間テストが終わり、夏休みが近づいた頃。鈍山武史は、幼馴染の真更聖士が飛び降り自殺をしたと知らされる。もう一人の幼馴染・花田香澄は「あの天真爛漫なサトシが自殺するはずがない」と他殺を疑い、武史と共に真相を探り始める。
二人は聖士がよく通っていた南校舎の「9段しかない階段」を訪れる。そこには「Lie(嘘)」と名付けられた絵画が飾られ、屋上へ続く扉の前には、お供えとは思えない白い星形の花――イヌホオズキが置かれていた。
花言葉は「嘘」「嘘つき」「真実」。
園芸部の友人・玉虫恵梨香の協力で、香澄は徐々に「自殺は嘘である」という示唆を読み取っていく。
調査を進める中で、香澄は武史との何気ない会話に違和感を覚える。その会話を文字起こしし、9段の階段に対応させて一文字ずつ抜き出すと、そこには――
「おれがはんにんだよ」
という、武史自身による自白が隠されていた。
聖士は高校入学後、武史から言葉の暴力を受け続けていた。憧れと嫉妬、劣等感が入り混じった歪んだ感情が、幼馴染の関係を蝕んでいたのだ。共犯者だった同級生たちも、罪悪感から自首を望んでいた。
警察が到着し、武史は連行される。後に香澄と恵梨香は聖士の部屋で日記を発見する。
そこには「どうやったら死ねるのかな」「ぼくが死んでも誰も悲しまないから」と繰り返された孤独と、「しんでほしくなかったっていってくれるのかな」という、最期の願いが綴られていた。
香澄は日記を抱きしめ、言えなかった想いと後悔を胸に、聖士が生きられなかった日々を生きていくことを決意する。
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