Synopsis

港町タリスの酒場に、二か月ものあいだ誰にも剥がされていない貼り紙がある。日に灼けて茶色くなった紙には、こうあった。 ――ミレド島の洞窟の捜索にあたり、護衛をする冒険者を複数名募集する。報酬は銀貨千枚。 銀貨千枚を、二か月、誰も取らない。 ミレド島は、近隣の島々では足を踏み入れることを禁じられている。神と対話し、永遠の命を得られる島だからだという。依頼人は、従業員がたった一人しかいない商会の女主人。目的は古代の遺跡から遺産を持ち出すこと――らしい。 十日の航海の末に上陸したその島は、拍子抜けするほど明るい南国の砂浜だった。 鳥は、いる。鳴かないだけだ。 けもの道は東西に何本もある。北にだけ、一本も無い。 森の野営跡は、鍋を洗い、薪を組み、寝袋をたたんだまま、無人になっていた。争った跡も、血も、亡骸も無い。 ――誰も、帰ってきていない。

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Kakuyomu
Kakuyomu08/06/2026
  • Currentノイズパターンズ ――神と話せる島――