Synopsis
直径42.67mmのボールをクラブで打ち、はるか遠くの約108mmのカップに入れる競技──それがゴルフ。
やってみて、初めて理解させられる。最初はクラブで小さいボールを打つことすらままならないことを。小さいボールを真っすぐ飛ばすことのなんと難しいことか。
だが、ある幼き少年は初めてテレビの向こう側からその退屈な競技を見た時に感じる。
「なんであんな簡単なことを、うんうん悩んでいるんだろう?」と。
楽しみにしていた特撮番組がつまらないゴルフ中継に潰されて不機嫌になり、そんなことを言った少年は父親によって打ちっぱなしへと連れて行かれる。実際に体験してみれば、難しいことがわかるだろう、と。
────だが、ここで幼き少年の異能とも呼べる才が、開花する。
有言実行。打ちっぱなしでの、生涯初めての一打にて、一番近くの目標のカップに、入れてしまった。
二打目、三打目と続けても、同じようにカップに入るか、一杯になったカップからボールがこぼれる。
震える父の声が、息子を褒める。打って、カップに入れる度に、父が褒めそやす。
褒められること。それが少年の快楽中枢をこれ以上なく刺激した。
褒められると、こんなにも嬉しい。
褒められると、こんなにも気持ち良い。
それが少年にとっての引き金。もう止まらない、暴走列車の始まり。
逢坂 幸成(おうさか ゆきなり)、四歳の原風景《オリジン》。
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