Synopsis

――今日もまた、誰ともまともに話せなかった。 「私、リーゼロッテ・リーディスティは、極度のコミュ障である」 「……赤ちゃんの頃は、そんなことなかったはずなんだけどね」  誰に言うでもなく、独り言がこぼれる。  唯一の友達は、廃墟に住み着いた真っ白な猫だ。白いから、ゆきちゃんと呼んでいる。 「ゆきー、ご飯買ってきたよ」  その声を理解しているのかどうか、猫は「にゃあ」とだけ返してくる。 「はぁ……ゆきちゃん、今日もかわいいねぇ……!」  思いっきり頬ずりをすると、露骨に嫌がられた。  ――死にたい。唯一の友達なのに。  ……はぁ。今日もどうしようか。いつもの狩りにも、そろそろ飽きてきた。遠出でもしてみようか。それとも、傭兵ギルドに顔を出して出稼ぎでもする?  ……人、いっぱいいるよね。怖いよね、ゆきちゃん。  やっぱり、ここにいよう。うん、そうしよう。明日にしよう。なんだか天気も崩れそうだし、濡れるのは嫌だし、何より――人がいっぱいいるし。  明日から、頑張る。

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Kakuyomu
Kakuyomu08/06/2026
  • Current「仕事? 人が怖いから明日やる。世界の謎? 人が怖いからどうでもいい。──全部、明日の私に託した」:コミュ力ゴミの異世界奇譚