Synopsis
帰宅ラッシュの電車で、一人の男が突然倒れた。
迷うことなく駆け寄る大学生、救護に加わる主婦や会社員。
その一方で、何事もなかったかのように日常を続ける乗客たち。
高校入学から間もない「私」は、男を助けようと動こうとする。
しかし、その胸にあったのは純粋な善意ではなく、「良い子と思われたい」という打算だった。
車掌を探しに向かったはずの足は止まり、結局何もできないまま終わる出来事。
そして、そのとき初めて気づく。
人は「良い子」だから誰かを助けるのではない。
ただ助けたいから助ける人もいれば、自分のしたいことを続ける人もいるだけなのだ、と。
善悪という見えない物差しに縛られ、自分の価値ばかりを計算していた少年が、自らの滑稽さと向き合うまでを静かに描いた、痛切な青春掌編。
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