Synopsis

冬至の夜会で、クラリスの隣はいつも空いている。 婚約して八年、八度とも同じだった。 婚約者は毎年、病弱な幼なじみに付き添う。 出かける前、彼は温室に寄る。 そして、彼女の手から薬包だけを受け取っていく。 君は強いから一人でも平気だろう、と言い残して。 その薬は、クラリスの温室で摘まれたものだ。 冬のあいだ、彼女は硝子の骨を直し、毎朝、灰を掻き出す。 花の咲く前に摘み、粉にして、包み口を二度折る。 八年、彼は一度も袋の中を見なかった。 どこで摘まれたのかも、尋ねなかった。 伝えれば貸しになると思い、彼女も黙っていた。 丈夫だから、後回しにしてもいい。 放っておいても大丈夫。 その言葉に、クラリスは八年ぶん頷いてきた。 けれど、薬草も、詫び状も、沈黙も。 差し出してきたものには、数がある。 彼女が手を止めたら、この家では何が最初に足りなくなるのだろう。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou08/04/2026
  • Current婚約者様は、あの子のお薬がどこから来ると思っていらしたのでしょう