Synopsis
「酷い構えだ。クラゲか。肩が上がって頭を越えそうだ。泳いだ剣先が溺れてる。呼吸は赤ん坊にさえ劣る」
罵倒のつもりだった。だが落ちこぼれ令嬢は、剣を取り落として笑った。
「今、わたしのこと……ちゃんと、見てくださいましたよね……?」
魔人七十八体を単独撃破、通り名【単騎】。かつて最強と呼ばれた俺は今、四尺に満たない幼女だ。
「女にしか倒せない」――そう看破した無敵の魔人に吠え面をかかせてやるつもりで、呪具の力で性転換して挑み、逆に叩き潰された。力を吸われ、尊厳を砕かれ、「殺すより生かした方が面白い」と嗤われて辺境送り。仇を討ちたくても、俺には剣すら握れない。
憂さ晴らしに始めたのが、落ちこぼれ令嬢どものダメ出しだった。
討伐数ゼロ。十八年、誰にも本気で叱ってもらえなかった箱入り娘。俺が数えるのは肘の角度と踏み込みの深さだけで、人格には触れない。ただの罵倒だ。しかも半分は当てずっぽうだ。
なのに、こいつらは喜ぶ。「もう一回お願いします!」と群がってくる。
そして、なぜか本気で強くなっていく。
――待て。こいつら鍛えたら、あの魔人に届くのでは?
てか最近こいつら、正直こわいんだが!?
Serialization Info
Web Novel