Synopsis
幼い頃の事故をきっかけに、他人の心の声が聞こえるようになった魔法使いの少年・奏。
嘘も好意も悪意も、聞こうとしなくても伝わってくる。
だから奏は、誰にも本心を見せず、力も人付き合いも半分だけで生きてきた。
ただ一人、幼なじみの少女・蒼の心だけは、何も聞こえなかった。
魔法国の小さな村で育った二人は、人間と魔法使いの共存を学ぶため、東京での研修に選ばれる。
しかし出発直前、蒼を庇った奏は重傷を負い、彼女だけが先に東京へ旅立つことになった。
三か月後、奏が追いかけた先にいたのは、知らない街で傷つき、変わってしまった蒼だった。
「君は変わってしまったね」
「お前は変わらないね」
人間を恐れる魔法使い。
魔法使いを憎む人間。
母の死を抱え、誰にも心を見せない少女。
そして、聞こえない心を信じることができない少年。
壊れたものの記憶を縫い合わせる蒼の魔法と、人の感情を歌に変える奏の魔法が、東京で出会った孤独な人々に小さな幸福を届けていく。
誰かを救うたび、二人は自分たちの傷とも向き合っていく。
これは、心を読める少年が初めて言葉を信じ、心を閉ざした少女がもう一度誰かを愛するまでの、優しく切ない魔法の物語。
世界の半分が悲しみでできているとしても、残りの半分には、きっと名前がある。
Serialization Info
Web Novel