Synopsis
大内裏で生まれ育った十四歳の貴仁は、他人の欠落を数えることでしか自分を保てない少年だった。追儺の夜、屋根裏を駆け抜けて館を出た彼を待っていたのは、足跡を残さない土地と、正体のわからない獣、そして名づけようのない恩寵。
化外を彷徨い、何かを得て戻った時、彼を待っていたのは変わり果てた故郷と、ただ一人残された赤子だった。
大内裏でも、化外でもない、どちらにも属せない場所――怎岸。
名前を捨てたその土地でだけ、貴仁は「父」になろうとする。
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