Synopsis
八月一日、世界から「人」が消えて数か月。 残されたのは、静まり返ったコンクリートの街と、緩やかに死を待つインフラ。 そして、250ccのオフロードバイク。
山口県のとある町で一人残された少年は、亡き「おっさん」から託された形見のジッポライターを握りしめ、キックペダルを踏み抜く。 「北の安息地(北海道)へ向かえ」 その言葉だけを道標に、少年の孤独な日本縦断が始まった
。
放置車両で埋まった古都・京都
、 信号機だけが無機質な光を繰り返す渋谷スクランブル交差点
、 電力が力尽き、漆黒の底へと沈みゆく青函トンネル
。
道中、無人のコンビニで冷え切った弁当をレンジで温め、相棒のチェーンに油を差し、おっさんから教わったサバイバルの知恵をなぞりながら、少年はひたすら北を目指す。 排気音の残響(エコー)だけが、自分がまだ生きていることを教えてくれる。
二千キロの旅路の果て、最北の地・宗谷岬で少年が見たものは、絶望か、それとも――。
これは、文明の残り火を辿りながら、一人の少年が「明日」を見つけるまでの、三十日間の夏休みの記録。
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Web Novel