Synopsis
日本の町工場で鉄を削っていた職人・柴田源吾は、異世界の山奥で、口は辛辣だが世話焼きなエルフ助手リュシアと静かに鍛冶をしていた。
ある日、血まみれの女が工房へ墜落してくる。人間軍の武器職人だと誤解され、斬りかかられたゲンが咄嗟に試作品の剣を構えると――魔法で守られたはずの女魔王ルヴィアの鎧が、あっさり裂けた。
滅亡寸前の魔王軍に必要なのは、英雄だけが振るえる最強の剣ではない。名もない兵士が生きて帰るための「折れない槍」、壊れても現場で直せる鎧、荷車、砥石、治具、そして技術を受け継ぐ弟子たちだ。
魔力も剣の腕もない。あるのは、鉄の火花から炭素と歪みを読む職人の目だけ。
ゲンはエルフ助手、女魔王、見習い少女とともに、粗悪な聖剣で利益を貪る者たちの嘘を叩き折り、戦争そのものを終わらせていく。
だが和平後、彼の刻印が付いた部品で七人が死ぬ。
作った者の目が届かない場所まで技術が広がったとき、腕のいい職人一人では、もう誰も守れない。
これは最強の武器を作る物語ではない。
使う者が生きて帰れる国を、鉄と記録と仲間の手で鍛え直す物語。
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