Synopsis
十年間を共にした大切な人との思い出が残る、熱海と初島。
その関係が終わったあとも、
主人公の中では十年という時間だけが、
どこか終われずに残り続けていた。
数ヶ月前、
彼は自ら人生を終わらせようとしていた。
未来も、
仕事も、
夢も、
生きる理由さえも見失っていた彼を、
一人の人がこの世界に繋ぎ止める。
再び未来を考え始めた彼は、
過去と決着をつけるため、
一人で熱海へ向かう。
身につけたのは、
あの頃の自分が愛していた一枚のTシャツ。
それはまるで、
昔の自分と十年分の記憶を、
最後にもう一度背負うための服だった。
かつて二人で見た海。
同じ船。
同じ島。
そして、
もう隣には誰もいない。
記憶を辿りながら初島を歩いた彼は、
やがて気づく。
自分がここへ来たのは、
過去を捨てるためではなかった。
忘れるためでもなかった。
大切だった十年を、
大切だったまま、
過去にしてあげるためだったのだと。
これは、
十年を島に置き、
一度終わらせようとした人生の続きを、
もう一度歩き始める男の物語。
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