Synopsis

推しが同じ。それだけだったはずなのに。 高校二年生のこはると、一年生のナズナは、同じ作品が好きだった。 好きな曲の話をして、グッズを買って、イベントへ行く。 くだらないことで笑って、帰り道を一緒に歩く。 そういう時間が、こはるは好きだった。 だから、ナズナが別の誰かと楽しそうに話しているのを見たときも、最初は何とも思わなかった。 ただ、少しだけ、面白くなかった。 その「少し」が、なかなか消えてくれない。 友達だから。 先輩だから。 推し活仲間だから。 そうやって名前をつけてしまえば、きっと簡単なのに。 電車の窓に流れる街の明かりや、手のひらに残った小さな缶バッジみたいに、言葉にするほどではない気持ちだけが、いつまでもそこに残っている。 これは、誰かを「好き」だと認める少し前。 まだ名前のない気持ちを抱えている時間の話。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Kakuyomu
Kakuyomu08/09/2026
  • Currentそれだけだった