Synopsis

三光ボウルが今月で閉まる。 七十八歳の父が、最後に一度だけボールを投げたいと言い出した。 四十六歳の僕は、押し入れの片づけを中断して、父を連れて古いボウリング場へ向かう。 返ってくるボールのように、何度も投げては戻ってくる日々。 中途半端に器用で、何者にもなれなかった自分。 太いマジックで「全員で行く」と書いた、青くて湿った大学のノート。 その夜、駅裏の「星くず食堂」では、二十年ぶりの仲間が最後の音を出すという。 店は閉まる。ギターは狂い、肩は痛み、ミラーボールは回らない。 それでも、父は膝でリズムを取り、僕は小さなシェイカーを握らされる。 無理なら無理でいい。 でも、足首はもう一度だけ、動いてしまう。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Kakuyomu
Kakuyomu07/05/2026
  • Currentそして今夜、星くずの夜に、小さく踊る