Synopsis
1240年。モンゴルの総司令官バトゥの大遠征により、ルーシの母なる都キエフは灰燼に帰した。
北東のウラジーミルの諸公が、生き残るためにハンの足元へ跪き、「タタールのくびき」を受け入れていく中、現在のウクライナ西部を統べるハールィチ=ヴォルィーニ公国の主ダニイル・ロマーノヴィチだけは、その不屈の双眸を輝かせていた。
「奴らの犬になり下がって繋ぐ命に、一体何の価値があるというのだ」
ダニイルは、圧倒的な物量を誇るモンゴル騎兵に対し、自ら剣を抜いて真っ向から戦いを挑む 。
しかし、内戦に明け暮れる他のルーシ諸公からの援軍は無く、国力は限界を迎えていた。そこでダニイルが仕掛けた大博打。それは「西欧(ヨーロッパ)との軍事同盟」。
1253年、彼はローマ教皇からの要請を受け入れ、東方正教の誇りを一部譲歩する代わりに、西欧諸国による「対モンゴル十字軍(軍事援助)」を引き出す約束を取り付ける。教皇から授かった「ルーシの王(ウクライナ国王)」のまばゆい王冠を頭上に戴き、ダニイルは反撃の狼煙を上げた。
しかし、現実はどこまでも冷酷だった。いざモンゴルの大軍が再侵攻してきた時、約束したはずの西欧からの十字軍は、一兵たりとも届かなかったのだ。孤立無援。迫る悪魔の大軍。
背後からの西欧の裏切り。それでもダニイルは、絶望の泥沼の中で、自らの民と国を守るために最期の瞬間まで剣を振り続ける。
モスクワのイヴァン1世が金を溜め込んで「寝取る」ロシアの礎に対し、血を流し、誇りを叫んで「防波堤」となったウクライナの真実。
美しくも、あまりにもシビアな中世ウクライナ戦記、ここに開幕!
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