Synopsis

殿下の外交を支えていたのは、退屈と呼ばれた婚約者だった。 外交書簡を書き、条約に注釈をつけ、蝋封を押す。 すべて殿下の名前で。 彼女自身の名前は、どこにも残らない。 ある夜の舞踏会で、殿下は宣言した。 真実の愛を見つけた、と。 百人の前で、婚約は終わる。 彼女は泣かなかった。 微笑んで、一つだけ尋ねた。 その恋人に、私のことを伝えましたか、と。 殿下は答えられなかった。 恋人は、婚約者がいたことを知らない。 婚約者はいないと、殿下は嘘をついていた。 真実の愛は、嘘の上に建っていた。 紹介できない存在。 それが二年間尽くした女への、殿下の扱いだった。 静かに去った彼女の不在が、殿下の世界を蝕み始める。 外交は崩れ、評判は消え、信用は剥がれ落ちる。 そして殿下の嘘に気づいた恋人が、ある決断を下す。 嘘で手に入れた恋は、どこから壊れるのか。 紹介すらできなかった相手に、すがる資格はあるのか。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou07/19/2026
  • Current殿下の真実の愛は、殿下の嘘を許しませんでした