Synopsis
魔王軍で十年間働いてきた人事担当、レオン・ハルバード。
剣も魔法も一流ではない彼の仕事は、勤務表の作成、四天王の出撃調整、種族ごとの勤務管理、負傷兵の復帰判断、離職防止、相談対応など、地味なものばかりだった。
しかし、魔王ゼルギウスはある日、レオンに告げる。
「魔王軍に必要なのは剣と魔法だ。休暇表ではない」
こうしてレオンは、魔王軍から解雇される。
だが、魔王は知らなかった。
炎獄将軍は、レオンが休ませなければ過労で倒れることを。
氷霜参謀は、レオンが会議を減らさなければ机に沈むことを。
影刃暗殺卿は、レオンが命令を翻訳しなければ部下に伝わらないことを。
夢魔宰相は、レオンが相談者を分散しなければ労働組合を作ることを。
そして、魔王軍は気づく。
人事担当が消えた途端、吸血鬼部隊は昼の砂漠へ送られ、スライム部隊の勤怠表は増殖し、四天王は次々と限界を迎えていく。
一方、クビになったレオンは人間の辺境都市へ流れ着く。
そこで彼は、魔王軍だけでなく、人間側の町や勇者軍もまた、人を使い潰す仕組みで回っていることに気づいていく。
これは、戦えない人事担当が、剣ではなく勤務表と退職届で世界を変える物語。
そして最後に、魔王軍は滅びる。
勇者の剣ではなく。
一枚の退職届によって。
Serialization Info
Web Novel