Synopsis

どの国の時刻表にも載らない夜行急行〈ノクターン〉。 この列車に乗るのは、降りる駅を見失った人だけだ。 売り子のリゼットは今夜もワゴンを押して通路を行く。珈琲にショコラ、焼きたてのビスケット。 そしてもうひとつ——ワゴンの二段目には、積んだ覚えのない品が紛れ込んでいる。 雨に濡れた手紙、亡き人の焼き菓子、止まったままの懐中時計の鍵。 その品が客の記憶に触れたとき、霧の中に小さな駅が現れる。 客は降りていく。答えを手にして。 売り子は見送る。自分の答えだけが、まだ見つからないまま。 朝の来ない列車で、今夜も売り声が響く。

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Kakuyomu
Kakuyomu06/15/2026
  • Current夜行急行ノクターン