Synopsis
高校生になった頃から、親の前で自分の感情を一切出せなくなった深月(みづき)。過支配な母の期待に応え、学校では口角を15度上げた「完璧な優等生の笑顔」というお面を張り付けて生きている。家にも学校にも、本当の居場所なんてどこにもない。心も味覚も失いかけ、限界を迎えたある夜、深月は匿名のアカウントに「消えてしまいたい」と本音を零す。その言葉を拾い上げたのは、自室から一歩も出ずにネットの世界で生きる少女、佳奏(かなで)だった。佳奏が送ってきた寂しくも澄んだ旋律に、深月は凍りついていた心が動くのを感じる。その日から、夜の闇に紛れて始まる二人の秘密のチャット。「今日も上手にお面を被れた」と呟く深月に、佳奏は「無理して笑わなくていい。私の前では、本当の君でいて」と、親すら見ようとしなかった微かな感情を優しく暴いていく。ネットの向こうの彼女の言葉だけが、深月の唯一の酸素になっていく。しかし、そんな歪で純粋な「夜だけの関係」を揺るがす、現実の危機が迫り――。「君が私の心を動かしてくれた。だから次は、私が君を部屋から連れ出すよ」偽りの笑顔を浮かべる優等生と、世界を拒む引きこもり。ネットの底で手を取り合った二人の、切なくも依存に満ちた、魂の救済ストーリー。
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