Synopsis
夫の急な仕事により、四歳の誕生日を迎えた娘と二人きりでS県の有名旅館へ向かうことになった主人公。
道中の特急列車で、娘は「大きなおじさんがいる」と虚空を指さし、手元にはいつの間にか見知らぬキャンディが握られていた。
不穏な気配を抱えたまま到着した老舗旅館。その夜、娘は客室のトイレを指さして無邪気に笑う。「おじさん、あそこにいるよ」と。
主人公の目には何も見えない。しかし、トイレの磨りガラスに視線を向けた瞬間、そこには天井に頭を打ち付け、異常に肩を怒らせた「巨大な男の影」がべったりと張り付いていた。
襖一枚、硝子一枚隔てただけの至近距離。姿の見えない怪異が、じわじわと物理的に部屋を、そして二人だけの現実を侵食していく、息詰まるリアル・ソリッド・ホラー。
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