Synopsis
東城 東(とうじょう あずま)は、誰もが認めるお人好しだった。
しかし中学最後の春、同じ日に起きた三つの事件で、彼の心は完全に砕け散る。
朝に、保身のために自分を裏切った、幼馴染の西月麗花。
昼に、承認欲求のために自分の才能を搾取した、生徒会副会長の詩乃北悠衣。
夕方に、命がけで守った直後、ギャルノリで自分を「ウザくてキモい」と罵倒した、南美律。
「二度と、誰も救わない」
感情を凍らせ、誰も自分を知らない『浅葱高校』へと進学した東。
しかし、運命の悪戯か、同じ「1年B組」の教室には、東の心を殺した三人の少女が全員集結していた。
今にも泣き出しそうな目で、罪悪感に震えながら縋り付こうとする彼女たち。
だが、東は口元に完璧な「営業用の笑顔」を貼り付け、冷徹なバリケードを展開する。
「――おはようございます。これからの一年間、クラスメイトとして『平穏に』過ごせることを祈っています。どうぞよろしくお願いします」
怒りも恨みもない。ただの『人生に関係のない風景』としての、丁寧すぎる他人扱い。
その絶対的な距離感に、少女たちは骨の髄まで凍りつき、どん底まで曇っていく。
そんなお通夜状態の教室で、東の心の壁を無邪気にステップオーバーしてくる少女がいた。
過去を何も知らない「真ん中」の少女――真中静玖。
「もー、敬語禁止! 私のこと、静玖って呼んで!」
静玖のひだまりのような温かさに、少しずつ、だけど確かに溶かされていく東の心。
一方で、自分たちには絶対に貰えない「年相応の素のトーン」を静玖に向ける東を見て、三人の元加害者たちは激しい嫉妬と終わらない後悔で血の涙を流し、さらに狂っていく――。
これは、心を殺された少年が本当の愛を知る物語。
そして、彼を裏切った少女たちが、一生消えない罰に擦り潰される「遅すぎる後悔」の物語。
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