Synopsis
「君とは夫婦になるつもりはない」
初夜、辺境伯はそう言って王都の恋人のもとへ去った。
欲しかったのは妻ではなく、妻を迎えたという「形」だけ。
飾るためだけに暖められた夫婦寝室。
その隣の廊下で、辺境を守る騎士たちは凍えながら眠っていた。
――夫が使わないと決めた部屋なら、空き部屋でしょう。
私はその寝室を、騎士たちの仮眠室にした。
役に立つことは、愛されることではない。
分かっている。
それでも、ただ一人。
夫が見なかった私を、まっすぐ見ている人がいた。
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