Synopsis

私が作る「ファイトケミカルスープ」に、味はない。 野菜と野菜くずをただ煮出すだけの、塩ひとつ入れないスープ。 台所に立つようになって何年も経つが、私の料理が褒められたのは、後にも先にもこれきりだ。 何の手も加えていないものを、なぜ美味いと言うのか。それでも私は、この味のないスープを作り続ける。 家族が唯一褒めてくれたから、だけではない。 話は遠い昔の食卓へさかのぼり、不器用な父のもとへ連れ戻していく。 還暦のおっさんが、味のないスープから手繰り寄せた、男たちの不器用なバトンの話。

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Kakuyomu
Kakuyomu06/28/2026
  • Current味のないスープ