Synopsis
引っ越しの日、段ボールの底から白い封筒が出てきた。
高校の卒業式の日に、渡せなかった手紙。
封はされていない。名前もない。
中には、青いインクで書かれた便箋が三枚。
十年前、彼の第二ボタンはもう誰かの手に渡っていた。
それから、呼ばなくなった。近づかなくなった。連絡もしなくなった。
同窓会の通知が届いた日、私は新しい封筒を買う。
手紙は読まない。
名前も書かない。
ただ、古い封筒から新しい封筒へ移す。
もうないものばかりの部屋に、古い封筒だけを残して。
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