Synopsis
かつて海沿いの大国・アストレア王国には、
“陽光の王子”と呼ばれる青年がいた。
名は、レオンハルト。
陽を溶かしたような金髪。
澄んだ碧眼。
剣術にも学問にも優れ、民から深く愛されていた。
だが――
隣国ヴァルディア帝国との戦争が始まり、すべてが変わる。
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第一章 落ちた王子
国境での会談。
本来なら停戦交渉になるはずだった。
しかしそれは罠だった。
護衛は殺され、レオンハルトは拘束される。
鎖を繋がれ、泥に膝をつく王子。
敵兵たちは嘲笑う。
「王族など、帝国広場で処刑してしまえ」
「その美しい顔も今日までだな」
敗戦の報はアストレアにも届き、
王国は彼を“戦死”として扱うことを決める。
――見捨てられたのだ。
処刑前夜。
地下牢で静かに死を待つレオンハルトの前に、一人の男が現れる。
黒髪。
腰まで届く長い髪。
冷たい銀の瞳。
ヴァルディア帝国の若き公爵――
カイゼル・ヴァルノア。
帝国で“氷の公爵”と恐れられる男だった。
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第二章 氷の公爵
「……殺しに来たのか」
鎖越しに睨むレオンハルト。
だがカイゼルは静かに言う。
「お前を処刑すれば、戦争はさらに長引く」
「生かして利用する方が価値がある」
そう言って、彼は牢の鍵を開けた。
ただし条件があった。
王子としての身分を捨てること。
そして――
「今日からお前は、私の召使だ」
誇り高い王子は激怒する。
だが拒否権はない。
処刑か、従属か。
レオンハルトは生き延びるため、公爵家へ連れていかれる。
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第三章 金の鳥籠
ヴァルノア公爵邸。
豪奢な屋敷でありながら、そこは冷え切っていた。
使用人たちはカイゼルを恐れ、
誰も彼に逆らわない。
レオンハルトは召使として働かされる。
紅茶を淹れ、書類を運び、庭を掃除する。
王子だった男にとっては屈辱だった。
最初は毎日のように反抗する。
「いっそ殺せ」
「敵国の犬になるくらいなら死んだ方がマシだ」
だがカイゼルは感情を変えない。
「なら死ねばいい」
「だが、お前はまだ生きている」
その言葉だけが、妙に胸に刺さる。
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第四章 公爵の秘密
ある夜。
レオンハルトは偶然知ってしまう。
カイゼルが帝国皇帝から疎まれていることを。
彼は冷酷な公爵ではなく、
腐敗した帝国を内側から変えようとしていた。
そして戦争そのものにも反対していた。
レオンハルトを助けたのも、
単なる利用だけではなかった。
「……なぜ俺を助けた」
月明かりの中で問う王子。
カイゼルはしばらく沈黙し、静かに答える。
「処刑台に連れて行かれるお前の目が」
「昔の私に似ていた」
初めて見る、公爵の弱さだった。
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