Synopsis

花見に行けなかった。 気づけば、桜は散り始めていた。 「桜、まだ見られるよ。いく?」 その一言で、二人はバイクで北へ走り出す。 早朝のコンビニ、道の駅、古い宿場町。 冷たい風の中を抜けて、たどり着いた湖畔にあったのは、満開を過ぎかけた桜のトンネルだった。 花びらは風に剥がれるように落ち、湖へ流れていく。 その景色は、満開よりもどこか静かで、確かだった。 遅れて辿り着いた春の中で、美咲は気づく。 間に合うことと、美しいことは、同じではない。 間に合わなかった春が、いちばん綺麗だった。

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Kakuyomu
Kakuyomu05/27/2026
  • Current春に、間に合った