Synopsis
森沿いの小さな町、リーベル。
十一歳の少女リリアには、悪い癖があった。
地図を最後まで見ない。人の説明も最後まで聞かない。
そしてその日、彼女は地図そのものを家に置いてきた。
町外れの森へ出かけたリリアは、迷い狐に誘われるように山菜道を外れ、森の奥へ入り込んでしまう。
そこは、最近小動物が無差別に捕食され、黒い糸が見つかっていた危険な場所だった。
黒い糸を張る巨大な蜘蛛に襲われ、逃げ場を失うリリア。
屋根裏に居ついていた子猫も彼女を追って森へ来ていたが、まだ幼いその子に、リリアを守りきるだけの力はなかった。
死を覚悟したその瞬間、リリアの前に現れたのは、黒い大剣を持つ旅の青年だった。
黒い旅装。
黒い大剣。
肩に乗る黒イタチ。
静かに光る紫の瞳。
青年はリリアを助け、名も告げずに去っていった。
けれど、その姿はリリアの心に焼きつく。
あの日から五年。
白いリボンの少女は、黒いリボンを結び、ついに旅立つ。
目指すは、あの日の青年のような冒険者。
探すは、黒くて格好いい大剣。
ただし、地図はだいたい役に立たない。
というか、今日もたぶん置いてきた。
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